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「書かなくていい。感じさせる言葉で」 3000曲を手がけた作詞家・松井五郎の極意

発行元:テレビドガッチ | 登録日時:2019年7月6日 23:03

♪また君~に~恋してる
♪泣かないで~ひとりで~
♪そうさ~100%勇気~

誰もが口ずさめるこれらの曲を手がけたのは、時代を超えてヒットソングを生み出し続ける作詞家・松井五郎氏。安全地帯、CHAGE and ASKA、氷室京介坂本冬美工藤静香、光GENJI、V6、Sexy Zoneらのジャニーズアイドルなど、これまで手がけた楽曲は3000曲以上。

数々の名曲たちは、どのようにして誕生したのか。時を越え愛される歌には法則があるのか。「THEカラオケ★バトル」(日曜夜7時54放送)では、作曲家・馬飼野康二氏とのコンビで番組オリジナル曲を手がけている松井氏に、歌作りの秘訣や名曲の裏話、作詞家になるためのアドバイス、さらに音楽業界の現状や今気になるアーティストなどをうかがった。

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松井五郎流 の作り方


――松井先生は、どのようにして作詞をされるんですか。「THEカラオケ★バトル」の番組エンディングテーマ「希望のSwitch」を例にあげると?

「『THEカラオケ★バトル』の場合は、いつも自由にやらせてもらっています。今回は、前作『Over and Over〜夢は終わらない』(初代番組エンディング曲)を超えるようなものを、という厳しいリクエストはありましたが(笑)。

番組の構成上、どうしても勝敗があり順列がついてしまう。でも、結果はどうであれ、常に前向きに、新しいスタートラインに立つという気持ちを持ってもらいたい。そんな思いから、前作今作ともに"何かが終わるときは、いつでも次のスタートになる"という思いをテーマとしています。今回は、番組から提示されたキーワードの中に『Switch』『Move』などがあり、"その瞬間から何かが動き出す"とイメージしました。

あとはスタッフとの打ち合わせで決めていきます。まずは一通り説明を聞いて、そこから具体的なフレーズも提示したりしながら了解を得て、イメージをすり合わせていきます。

例えば、『辛いものが食べたい』と言っても、ある人にとっては坦々麺かもしれないし、ある人にはイタリアン、あるいは和食の辛いものかもしれない。そこで、"辛いもの"というときに、アーティストのキャラクターや時代などを考慮しながら一番適したものは何なのか、みんなの意識を統合していきます。そうすると、出来上がったときに『あんなに和食っていったのに、出てきたのはイタリアンじゃないか』ということにはならないですから」

――スタッフさんが、松井先生は打ち合わせの場で全て歌詞が出来上がっているんじゃないかと思うくらい速いとおっしゃっていました。

「8割方できますね。本当はその場で書いてもいいけど、ササッと書くと適当にやっていると思われるかもしれないから(笑)。

でも、30分でできることもあれば、1年かかっても出来ないこともある。出来る瞬間って時間の問題ではないですから。実は、みんなで意見を出し合っている時が脳の温度が一番高いので、許されるのであれば、その場で書くのが楽しい。だから、打ち合わせして家に帰って、体調とか状況さえ許せば、その日のうちに書いてしまいますね」

――すごいですね! 作曲方法は、先に歌詞を作り、後からメロディを乗せてゆく「詞先」と、先にメロディを作り、後から歌詞を乗せてゆく「曲先」がありますが、どちらが先の方が書きやすいですか?

「『希望のSwitch』は詞が先にありました。フォーク系、演歌、歌謡曲などは、詞が先の方が多いんですが、書きやすさはどちらでも変わらないですね。一番大事なのは、モチベーション、つまり書くことに対して"飽きない"ということです(笑)」

――飽きないとは?

「そもそも好奇心は旺盛なんですが、飽き性なんですよ。ずっと同じ状態で書いていると集中力落ちますから、パソコンで書いていたのをシャーペンに変えたり、万年筆にしたり、ノートを変えてみたり。家で書いていたのを喫茶店にしてみたり」

――演歌だと、やっぱり手書きのイメージがありますが......

「どこで、何で、書くかは全く決めてなくて、その時の直感です。ただ、シャーペンは常に先が尖っているクルトガを使っています。

"飽きる"というより"鮮度"を大切にするということですね。1曲1曲にそのアーティストの人生がかかってるわけですから、こちらもいつでも初めて書くモチベーションで臨むようにしています」

「津軽海峡・冬景色」の"あゝ"のスゴさ!


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――作詞家になりたい人、歌詞を書きたい人へアドバイスはありますか?

「何か楽器をやってみるといいです。"歌詞"は、リズムが必要、音楽であるということが大事。紙の上でいいものであっても、"うた"になるとは限りません。

例えば、作詞・阿久悠先生、作曲・三木たかし先生による、石川さゆりさんの『津軽海峡・冬景色』は、詞先でも曲先でもすごい歌です。サビの『あゝ津軽海峡冬景色』の『あ』は音としては4つ。曲先なら、『あ』の4音に『あなたと津軽海峡冬景色』など言葉をあてそうなところを、そこに『ああああ』と書いた阿久先生の鋭さ。詞先なら、歌詞には『あゝ』としか書いてなかったはずなのに、4つのメロディに乗せた三木先生のスゴさ。さらにディレクションもすばらしく、2音目からファルセットのキー設定ですが、石川さゆりさんの声で途中から裏声になる威力! 全て考えて作られていますよね。

言葉でいえば『あゝ』は誰でも書けると思うかもしれませんが、それを"うた"としてどう落とし込んでいくかというところが重要。そんな意味合いもあって、歌詞を言葉ではなく音やリズムとしてとらえるために、楽器ができるといいかなと」

――あの「ああああ~」があったからこそ時代を越えて胸に響く名曲になったんですね。これとは逆に、松井先生が作詞された曲で、出来上がったメロディが思ってたのとは違うと思ったことはありますか?

「制作の過程でアイデアを交換しますから、ほとんどないですね。例えば、安全地帯の『じれったい』という曲は、サビの「じれったい」を「じれーたい」とは歌われたくない。もし、そういうメロディがついてきたら、「そこは、"っ"と跳ねてほしい」とリクエストします」

『恋の予感』での挫折が、作詞家として大きな転機に


――今お話の出た安全地帯玉置浩二さんとは、多くの楽曲を一緒に制作されていますが、印象に残っていることはありますか?

安全地帯『恋の予感』での挫折は分岐点でしたね。作詞は井上陽水さんですが、実は僕もトライさせもらっていて何十回も書き直して採用されなかったんです。

最初、僕は少ない音数に情景や感情を詰め込んでいて、読むだけなら詩的な感じもあったと思いますが、歌になるといまひとつ伝わらない。

陽水さんが書かれた歌詞は、『なぜあなたはきれいになりたいの?』と表現としてはシンプルですが、万人に理解でき、玉置浩二の声に乗った時の威力といったらなかった。それはショックでした。ある意味、書かない表現の深さを見たような。それでいてちゃんと感じる言葉。

その後『悲しみにさよなら』を書くことになるんですが。少女が日記に初めて書いたみたいなタイトルでしょ(笑)。でも、陽水さんの『恋の予感』があったから生まれた詞だと思います」

いいものを書き続けるコツ


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――数々のヒット曲を生み出してこられた松井先生ですが、作詞における「売れる歌」の法則のようなものはあるんですか?

「売れる歌の法則があったら、ぜひ教えていただきたい(笑)。でも売れる曲と残る曲は違います。あまり数字が伸びなくても皆さんに憶えてもらえる曲もあれば、たくさん売れても印象に残らない曲もある。

ただ、"歌いやすい"ということはすごく考えますね。どこで言葉を切ってブレスを入れるか、ブレスするところでは言葉をまたがない、とか。ブレスも"言葉"なんです。

あとコール&レスポンスも考えます。ライブを観に行くとわかるんですが、どんなジャンルにもコール&レスポンスがありますから。言い切っていいのか、リフレインするのか、どうするのかを想像しながら書いています」

――これまで3000曲以上を生み出してこられましたが、いいものを書き続けるコツはありますか?

「やっぱり数を書くこと。形にして頂いた作品は3000曲かもしれないけど、実際はそれ以上書いてて、もちろんすべてがいいわけではなく、中には厳しいものもある。

例えるとすれば、 打席が回って来るまで、或いは打席が回ってこなくてもバッドを振っていないと、いざという時力が出せない。イチロー選手だって成績以上にバットは振ってる。練習はウソつかないですから。そこはシンプルに信じてます。

自分にしか見えていないところで、どれだけ自分と向き合えるかが大事。怠けたり、諦めたりすれば、結果ははっきり出る。ただ芸事ですから、頑張ったからいい結果が必ずでるとは限らない。そこも踏まえて心と能力を鍛えていければいいなと思いす」

変わり行く音楽業界と、それでも変わらぬもの


――作詞家として約40年、音楽を取り巻く環境も時代をともに変わりましたが、今の音楽業界をどう思いますか?

「僕らが生きている時代にここまで来るとは思わなかったので、ビジネスモデルとしての音楽業界が、可能性の範疇での創造は出来ても、正直どこまで加速していくかわかりません。

ただ、新しい世代の日本のミュージシャンは"音楽やらなくても生きていけるんじゃないか"と思う人も多いですね。僕らや先輩たちは、どこか生きるか死ぬかのようなところがあった。どちらがいいという話ではないですが。最近はコンプライアンスの問題もあるし、歌詞も制作サイドが自主規制してるところがあるんじゃないかな。

例えば、阿久悠先生作詞の沢田研二の『カサブランカ・ダンディ』には、『ききわけのない女の頬を 一つ二つはりたおして』なんてでてくる。僕も、80年代に、『ひっぱたく』なんていう言葉を使った歌詞を、比喩として書いたことありますけど、今だったら『ここ表現変えてくれ』となりますよね。表現することが無難なものばかりになるのは、ちょっと寂しいですね」

――時代や環境が変わっても、松井先生の中で変わらないものはありますか?

"答えを書かないこと"です。昔、書いたもので、答え書いてるじゃないかと言われるものもあるかもしれないけど(笑)。わざと伏せることで聴く人の想像力を刺激するような。歌が終わり、その歌の続きが聞いてくれた人のものになってくれればいいなと思っています」

――今、気になる作詞家やシンガーソングライターはいらっしゃいますか?

「やっぱり中島みゆきさんとユーミン(松任谷由実)さんは素晴らしいですし、世代が変わって椎名林檎さんと宇多田ヒカルさん、最近ではあいみょんさんなど、いいなと思う方がいらっしゃいますね。

作詞家のいしわたり淳治くん、いきものがかり水野良樹くんは作家としていいものをたくさん作られてるし。米津玄師くんも、彼の世界観は作家には提示しにくい、所謂シンガーソングライターとしての肉体を伴った表現、好きですね」

――最後に、「THEカラオケ★バトル」の出演者にメッセージをお願いします。

「音楽、歌を点数で表すのは難しいですが、点数で競うことによって生まれるものは音楽の新しい楽しみ方として面白いと思います。この番組からスタートしたメンバーたちが、自分のパフォーマンスを見つけて巣立っていくことを祈っています。その時はお仕事をください(笑)」

優しい語り口で、何でも気さくに話してくれた松井五郎先生。歌詞のことを「詞」ではなく、常に「うた」と表現されていたことが印象的でした。言葉通り、紙の上だけでは成立せず、メロディと一緒になってはじめて「歌」となります。これからも、松井先生の心に残る歌、楽しみにしています。

【松井五郎(まつい・ごろう)】
1957年生まれ。1981年、CHAGE and ASKA「熱風」で作詞家としてデビュー。以降、安全地帯、BOOWY、氷室京介、HOUND DOG、工藤静香平原綾香、JUJU、V6、KinKi Kids、アニメや特撮、韓流アーティストなど、幅広いジャンルの作品を提供。
「THEカラオケ★バトル」では、歴代エンディング曲をはじめ、オリジナル楽曲を提供している。
https://avex.jp/matsui/

全員が初出場! U-18歌うま甲子園 夏の新人戦


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7月7日(日)夜7時54分放送の「THEカラオケ★バトル」は、U-18歌うま甲子園 夏の新人戦!

全員が初出場というフレッシュな顔ぶれの実力派9名が集結! 3つのブロックに分かれて戦い、決勝に進めるのは各ブロックたったの1人。家族の絆も注目ポイントの今大会、なんと優勝者には「家族で使える30万円分商品券」! 果たしてどんな逸材が現れるのか!?

★出場者
A1【大分:ミュージカル女優を目指す 人気ラーメン店看板娘】
田中なずな×一青窈『ハナミズキ』
A2【兵庫:熱血母と二人三脚!中1女子】
森本安音×リトルマーメイド『パート・オブ・ユア・ワールド』
A3【兵庫:こぶしで聴かせる!演歌女子高生】
中井彩花×氷川きよし『箱根八里の半次郎』
B1【大阪:夢は歌えるモデル!なにわ女子高生】
ペレ・アナイス×シェネル『BELIEVE』
B2【愛知:○○○な歌声を持つ 魅惑の男子高校生】
重田拓也×HY『366日』
B3【熊本:ご近所一丸となって応援!元気いっぱい小6娘!】
伊沢有香×ドリーミング『アンパンマンたいそう 』
C1【神奈川:歌手を目指してブラジルから移住!歌うま女子高生】
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C2【千葉:歌で繋がる親子の絆! Superflyに憧れる中2女子】
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C3【東京:半数以上が東大進学! 超有名校に通う秀才男子】
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